2010年11月1日月曜日

Workshop memo Handmade Silver Ring

最も基本的な作品の、製作工程を紹介したいと思います。

バーナーで加熱した幅広の純銀板を、圧延機(ローラー)に通し厚みを均一にします。
狙った幅(2/3/6/9mm)に糸鋸で切断し、切断面を金鑢で整えて準備完了です。


金床の上で刻印(Hallmark/metalcraft特製です)を入れます。



1:接合させる面を、平行に整えキレイに磨り合わせフラックス(金属の種類にり数種類有り)を塗り、バーナーで銀ロウを溶かし接合します。(硬ロウ接)

銀ロウ(Silver Bralzing Filler Metal)によりロウ接した部分は、皮膚の油分や酸化により変色します。
それは、銀ロウの成分が銀、銅、亜鉛が使われている(人体には無害です)ためです。
加工したそのままの状態だと、変色の原因になるので多くの生産メーカーは製品にメッキ/プレーティング(Plating)加工を行っています(メッキ加工すると細かいキズも隠せるので大変便利で効率的な技術です)。
私は、作品それぞれの”個性”が無くなり”工業製品の様な同じ顔”になってしまう、その様な加工は、一切行いません。
「身に着ければ、何でも汚れてきますし、くすんでも磨けば済む事なので。」
分かりづらい、変な言い方ですが”ただの商品では無く、一つの作品として”御作りしているためです。

2:ロウ接した直後の状態で、真中の変色している部分が銀ロウにて接合させた部分です。
3:酸洗い後に、ヤスリで余分な銀ロウを削り落とし真円に成形し磨いた状態です、ロウ接跡も分かりません。
4:変色させた状態です、ロウ接跡が若干目立ちます。左側の黒く銀をいぶした状態のモノだと、ロウ接した部分には”斑”が出来る場合がございます。



私が利用する金槌は、全て打面を理想的な形に成形し直しました手製で、独自のモノです。
様々な金槌を用いて、打ち出した模様は、Design的な要素も有りますが、本来は比較的軟らかい”純銀”を打ち絞め硬く丈夫に仕上げるためです。(ちなみに”雪平鍋の模様”も同じ理由からです。)
最後に荒い番手のペーパーから細かくして行き磨き上げます。
一般的にはバフマシーンにて効率良く仕上げを行いますが、私は手で磨いております。
せっかくハンドメイドで、一つづつ製作しておりますので”味気無いモノ”に仕上げたく有りませんので。

かなり簡単な説明になりますが、以上が私が行っておりますkunugiシリーズの製作方法です。
1998年よりハンドメイドに拘り、日夜作品作りに没頭しておりますが、全て独学のため分かりにくい部分も有ると思いますが御許し下さい、御参考頂けますと幸いです。



作品はMetalCraftで紹介しております
metal craft (メタルクラフト) Tsuji Ikko (辻 一功)